1.受験を決めた理由
これまでロボット競技ばかり夢中でやって過ごしていた長男。ロボットなんてどこでも作れるし学校で教えてもらうことではない、当初は学校なんて関係ないと考えていた。しかし、ロボット競技大会への何度かのチーム出場を通じて、これからの時期に「誰と出会うか」が人生で一番重要なんじゃないかと感じるようになった。ロボットに興味があるという子はたくさんいるけど、そのレベルもやる気も当然ながら千差万別だ。長男と同じくらい情熱があって長男よりも多くの知識や経験を持った仲間や先輩を見つけやすいこと、成長著しいはずの中学生で高校受験のために費やす時間やエネルギーをそのまま大好きなことに向けられること、さらに教育水準の高い環境で終始刺激を受けられることを考えた場合、理工系教育に力を入れた中高一貫校に進学する選択肢があるんじゃないかと考えるようになった。この受験理由は、長男と何度も確認し合ったことだ。この目的を長男自身がしっかり理解できていたことが、過酷な受験勉強を最後まで乗り切る原動力になったんじゃないかと思う。
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2.塾選び
受験を決めたのは1年前。中学受験は小学4年生(正確には小学3年生の2月から)から始めるのが普通なので、完全に出遅れ。そこで集団塾ではなく個別指導塾を探した。今から中学受験に対応できて、自習指導もしっかり面倒をみてくれる条件のところは近所では1つしかなかった。もし今なら「第一志望校の今年の合格実績が一番多い中学受験塾のうち、実際に合格者が通っていた教室」に入れると思う。
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3.塾での学習
一般的な中学受験は国算理社の4科目。4科目ではとても間に合いそうもないこと、第1志望校が国算理の3教科受験だったこともあり、最初は国算の2科目でスタート。理科はスタディサプリで対応することにした。時間に余裕ができた夏期講習から理科を追加。社会は最初から捨てた。塾の教室内で中学受験するのは長男1人(そもそも学校のクラスでも受験したのは長男1人だけ)。塾で一緒に勉強するのは全員中学生。結果的に長男1人が良くも悪くも特別待遇となり、とことんオーダーメイドで指導してくれた。可愛がってもらえる塾が自分の大切な居場所だと認識していたようで、嫌がることなく、むしろ積極的に楽しんで毎日通えた。中学受験の勉強にはしっかり対応してくれたし、勉強好きにさせてくれたことが何よりも財産。長男にとってはベストではないけどベターな環境だったと感謝している。ただし、結果として中学受験のプロではなかったと思う。
4.自宅での学習
ようやく基礎レベルの学力がついてきて、塾の宿題が予定した時間内で処理できるようになってきた秋頃、このまま塾での指導だけでは間に合いそうもないと判断し、塾の学習と並行して自宅学習も開始することにした。塾の宿題に加えて、市販の中学受験用問題集を購入し、朝晩に必ずやるようにした。変に凝った難問がないもの、塾が使っているテキストより解説が丁寧で分かりやすいものを私が厳選した。それでも長男が1人で分からないところがあれば、塾の自習室に持ち込んで、遠慮なく塾の先生に聞く流れを作ってもらった。用意したテキストは、ほぼ全部終わらせることができた。
5.勉強環境
基本は塾の自習室。家では勉強専用の部屋を作った。勉強に集中させるために、家からテレビを捨てた(巻き込まれた次男はかわいそうだったけど、ちょうど次男が液晶に傷をつけて壊したタイミングだったので文句は言わなかった)。時事ニュースは1週間に1回の読売小学生新聞の購読でまとめて対応。うちはホワイトボードとの相性がよく、親子のコミュニケーションツールとして最大限活用した。毎日手書きで問題を出したり、解説に使ったり、タスク管理や伝言板に使ったり。A2サイズのホワイトボードは最終的に6枚に増えた。ipadはスタディサプリなどの動画学習用。問題や解答用紙は複合機でどんどんコピー。暗記したいところはコピーしてラミネート加工してお風呂に貼る。壁にも貼る。使えるものは全部使うスタンスだ。
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6.勉強時間
長男の志望校は難関校ではないけど、平均以上の学力は必要だった。たった1年間で合格水準まで学力を高めるためには、勉強漬けにするしかない。質より量だ。秋の終わり頃からようやく平日6時間、休日10時間、起きている時間はずっと勉強している状態をキープできるようになった。勉強した内容と時間はタスクビンゴ方式で長男の手帳に記録として残すようにした。ただ、どんどん寝る時間が遅くなり毎日深夜1時過ぎまで勉強するようになってしまった。これはかなりまずいと、途中からは睡眠時間を確保することを最優先し、勉強時間を強制的にセーブした。放っておくといつまでも勉強し続けるので、もうやめて寝なさいと毎晩言い続けた。
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7.模試
中学受験生が受ける模試はいくつかあるけど、うちは中堅レベルの首都圏模試が基本。それでも最初の模試の偏差値は衝撃的な低さだった。期待していた算数は思ったより伸び悩み、国語は終始壊滅的。理科だけは順調で勉強した分だけどんどん上がっていった。模試は12月までしかないので、偏差値はあくまでも勉強のベンチマーク的に使うもの。合格判定は一切気にしないということにした。そうでないと精神的に耐えられない。
8.学校説明会
最初志望校が1校だったので、モチベーションを保つ目的で説明会などのイベントには極力全部親子で出席した。ただ、最初の頃の説明会はほぼ同じ内容も多く無駄だったので、後半は絞って行くように切り替えた。文化祭は長男がすごく楽しんでいた。最後の説明会は試験内容が説明されるので必ず行くべし。塾の冬期カリキュラムは、この最後の説明会の内容を受けて、全部作り直してもらった。中学受験対応の大手塾はそういう情報収集からピンポイント対策まで全てやってくれるじゃないかと思うけど、うちは塾がやってくれなかったので全部親がやるしかなかった。
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9.受験校決定
当初は第1志望校1校のみの受験と考えていたが、これだけ受験勉強して落ちたら終わりはないなと途中で考えを改めて、第2志望校を決めて受験対策もすることにした。ただし、社会を勉強していなかったので、4科目受験の第2志望校がかなり厳しい状況だった。このため、合格して自信をつけさせたかったので、急遽予定のなかったもう1校を第3志望校として受験することにした。これは試験前日に決めた。
10.過去問対策
中学受験用の赤本は、声の教育社と東京学参の2社から出版されている。入っている回数が違ったり、解説が違ったり、よく見ると確かにちょっと違う。長男は声の教育社の方が分かりやすいと言っていた。2冊あるとコピーしないで問題と解説の両方をみれるので2つあった方が使いやすいとも言っていた。解き直しのために解答用紙は何度もコピーするので自宅の複合機が大活躍。結局受験する学校の赤本は全て両方買って、年明けからは徹底的に過去問対策を繰り返し、過去問で7割程度はとれるレベルになった。
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11.受験本番
受験当日の朝は早く、昼過ぎまでみっちり試験がある。複数回受験の場合はこれが数日続く。普段から長時間学習に慣れていないと本番は戦えないんじゃないだろうか。かなり驚いたのは、受験当日は保護者がずっと一緒に付き添うのが一般的らしい。そう言えば模試もそうだった。当日はさらに、学校の校門前でそれぞれの塾の先生たちがズラッと並んで待ち構えている。帰りは保護者がお迎え待ち。うちは1人で行って誰にも声をかけられずに1人で帰ってくる。もともと1人でよく出かける長男はそういうことを気にしないと思っていたけど、本番で1人なのは少数派だそうだ。試験終わったらわざと一番最後に教室から出るようにしているんだって試験最終日に教えてくれた。
12.結果発表
基本的に試験当日の夜にはホームページに発表される。長男は複数回受験だったので、結果を待つ前に次の日の勉強をしていて、発表時間になると自分で調べていた。結局、難易度も倍率も跳ね上がった第1志望校は不合格、第2志望校と第3志望校は合格という結果だった。出来はそこまで悪くはなかった。それでも届かなかった。「もっと勉強しておけばよかった」と言った時の長男の泣き顔は一生忘れられそうもない。
13.受験を終えて
全ての受験が終了した次の日には、自信を持って第2志望校に進学することに決めた長男。自分より学力が上の人間が世の中に数え切れないくらいたくさんいることを痛感したのか、中学受験が終わった後も、次のステップに向けた勉強は変わらずに続けている(今のところは)。既に次の登校日までに提出しなければならない宿題が既にたくさん出されているし、入学前テストもある。休んでいる暇はない。この1年間、自身が強く受験を希望していたためか、「受験やめたい」とか「勉強したくない」とか「塾に行きたくない」とは一度たりとも口にしなかった。最後まで必死に走り続けたことは我が子ながら感心してしまう。長男のおかげで親としての貴重な経験をまた積ませてもらった。でも、親がせめてもう1年早く中学受験を意識していれば、もっと親が勉強していれば、今回とは違った結果にすることもできたはずだとも思う。この中学受験の想像以上の過酷さは、当事者になって経験しなければ決して感じることのなかったもの。知らずに過ごすこともできたかもしれない。でもうちの場合は、中学受験やって良かった。
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